アメリカやっぱスゲー
米国株式投資を始めるにあたり、アメリカの配当貴族と呼ばれるような会社のPLを少し研究しました。
そこで思ったのはこんな会社が山ほどあるなんて、アメリカってやっぱスゲー、ということでした。
日本に配当貴族がいないのはおかしくない?
だけど、なんでそうなるのか非常に疑問に思ったわけ。
日本人のほうが、勤勉に働く印象あるよね。長時間労働もいとわないし。サービス残業だってするし。
なのに、なぜ日本に「配当貴族」は存在しないのだろう、と。連続増配株としては花王があるけど、たった1社だけだしね。
逆に、典型的なアメリカ人って、the SIMPSONS に出てくる人たちだよね。わりと自己主張が強くて利己主義的なところがある人たち。。
実はたけおかはカナダに住んでいたことがあって、カナダ人とアメリカ人はよく似ている(日本人に比べれば)と思うので、その経験で言ってしまうのは乱暴かも知れないけど、実際カナダ時代の同僚って定時に職場にやって来て定時に帰ってました。そして、彼らにはそれぞれ「Job description」があって、だから自分の決められた範囲の仕事しかやらないし、命ぜられなければ残業も一切しないし、部下に残業が発生するのは上司に能力がないからだという共通認識があった(仕事に合った能力のある人間を採用できていないとか、部下に適切なトレーニングの機会を与えることができていない、という意味)。
たけおかのいた会社はたしか、朝8時半始まりの17時終わりだったんだけど(もう10年も前のことでうろ覚えだけど)、16時半を過ぎるとみんな帰り支度を始めるんだよね。自分がコーヒー飲んでいたマグカップをキッチンで洗ったり、いらない書類にシュレッダーかけたり、トイレ行ったりとかね。
それで17時に鐘かブザーが鳴ったと思うんだけど、それが鳴るとみな一斉に席を立って「see you」とか言ってニコニコ帰っていくわけ。ある日たけおかが同僚に質問をしようとして17時03分に自分の執務室を出たところ、そのフロアで働いている10人ぐらいの同僚が既に誰もいなかったことがあって、「あいつらマジはえ~わ」と感心したことを、よく覚えています。。
何が言いたいのかというと、「働き方」と「会社業績」の相関が逆なんじゃないか、ということ。
勤勉で自己犠牲も発揮できる労働者に支えられた日本企業こそ好業績を上げてしかるべきであって、自分の利益が何より大事な労働者を抱えている米国企業は好業績をつくるのに苦労するはずじゃないの? なんで事実は逆なの?
ここにひとつの仮説を唱えたい:
労働者が勤勉で自己犠牲的であればあるほど、長期で見ると会社業績にとってマイナスになる
勤勉と自己犠牲が、長期でみると会社業績の足を引っ張る?
仮説ときたら検証をしなきゃいけないんだけど、それは学者の仕事なので、どういうストーリーになるか想像してみる。
日本だと「チームで仕事をする」という聞こえのいい言葉があるうえに Job Description がないから個人の仕事の範囲がとってもあいまいなんだよね。ある個人が「自分の仕事だと思っている仕事」を早く終えると「チーム」の中の別の仕事が降ってくるから、自分の領域を一生懸命効率化してもその効果は会社が総取りしてしまってその個人には全然帰ってこない。だからそこには生産性をあげるモチベーションがないわけ。
逆にアメリカ方式だと、ある個人が「自分の仕事だと思っている仕事」を早く終えても「チーム」の別の仕事は降ってこないから、業務遂行に時間的余裕が生まれるしときには早く帰れたりもするだろうし、生産性の向上の一部を個人が享受できる。だからそこに工夫しようというモチベーションが生まれるよね。マネジャーの目でみると、そのような1人分の仕事を0.8人分の仕事に圧縮する能力があるスタッフには少しだけ(たとえば5%)待遇を良くして別の仕事を与え、現在の0.8人分の仕事はもっと賃金の安い人にやらせようという発想が出てくる。差引きで会社は 0.15( = 0.2-0.05 ) だけ得をするのだ。
日本式だとこの益は生み出されないし、生み出されたとしても見えないし、見えなければ経営的アクションにつながらないから実現しない。
こういった微々たる効果の、数万人分、数十年分の積み重ねが、日本企業と米国企業の差を生んでいるのではないか。
会社業績よくする方法を教えます
そうだとするならば!
会社業績を良くしようと思ったら、
① Job Descriptionを明確にする ことがものすごく大事で、そのうえで、
② スタッフは他のスタッフの仕事を無断で手伝ってはならない
のです!
スタッフが他のスタッフの仕事を手伝うときは、上司がきちんと把握したうえで手のすいている部下にきちんと「命じて」やらせなければならない。スタッフが他のスタッフを勝手に手伝っていたら逆に叱責しなければならない。
そうすることで初めて部下の能力と、どの業務にどれだけ工数がかかるのかが見えてくる。
もし恒常的にAの業務がオーバーフローする反面、Bに余裕があることが見て取れるなら、マネジャーとして短期的に取ってよい手段は、Bの Job Description をきちんと本人合意のもと修正したうえでAを補助させることである。中長期的には、Aのオーバーフローが能力不足によるなら教育するか他で置き換えるかすることになる。またBの「余裕」がオーバースペックによるならもっと安い人材に置き換えるべきである。
こういうのって、日本企業のとくに「ホワイトカラー」領域では全くできてないはず。
「上司が退社するまで帰りづらい」とかいまだに言ってる人がいますが、それはそのスタッフにとって辛いことであると同時に上司にとっても部下の能力と工数が見えなくて生産性向上の機会を失っているとうことでとっても不幸な情景なんだよね。
「仕事終わったら帰れ!」と耳うるさいマネジャーがホントのいいマネジャーということになる。
経営者が勉強不足なんだね
ということで、労働者の勝手な自己犠牲は会社にとって本当にいいことがないって理解してもらえたと思う。有給休暇だって同じなんだよね。会社は一日も残さず有給休暇を取るように従業員に徹底すべきなんだわ。
それをしない経営者というのは生産性向上の機会を自ら捨てているんだってこと。
この部分が改善されない限り、たけおかが日本株に投資することはないね。
以上!
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